Web発注の教科書

「とりあえずWordPress」は正解か?CMS選定の判断基準

公開日時:2026.03.07

「とりあえずWordPress」は正解か?CMS選定の判断基準

2026年現在、ウェブサイトの制作手法は、「WordPressで作るだけ」では収まらない、多様な選択肢が並ぶ時代になっています。

これまで、主流だったのは「WordPressでウェブサイトを作る」という構造でした。

しかし、現在は、

  • microCMS などのヘッドレスCMS
  • STUDIO / Webflowなどのノーコード系CMS・サイトビルダー
  • Shopify のインフラを活用した構成
  • .md(Markdown)ファイルをGitで管理して、CMSを「使わない」Jamstack的な構成

といった制作手法が、実務で一般的に使われるように変わりつつあります。

なぜ、ここまで多様化したのか?

その背景には、

  • 「WordPressの運用コスト・保守の見えにくさ」
  • 「制作会社の得意分野・ノウハウの偏り」

という2つの理由があると感じます。

WordPressが抱える「見えにくいコスト」と、その回答としての別プラットフォーム

1. WordPressの運用コスト・工数の構成

WordPressの最大のデメリットは、

  • 「アップデート対象がとにかく多い」こと
  • 「工数が読めない」こと

です。

WordPressサイトの運用には、以下をすべて見なければならない構造があります。

  • WordPress本体のコア
  • テーマ
  • プラグイン
  • PHPバージョン

たとえば、PHPのバージョンをアップデートすると、対応していないテーマやプラグインが壊れてしまうことがあり、

  • 事前検証
  • バックアップ
  • 段階的更新

といった手順を踏む必要があります。

運用コストは、構築初期時にはわかりづらく、後から保守が積み上がり「運用コストが思いがけず高くなる」という構造が、現場でよく見られます。

この構造を、「管理の面倒さ」「工数の読めなさ」「後から爆発的に出てくるコスト」と理解している制作側は、案件によっては、「WordPressではなく、別のCMS・プラットフォームに流す」という選択肢を取るケースが増えています。

2. WordPressしか使えない制作会社の「安直さ」

一方で、

  • WordPressのシェアが非常に高く
  • Web上の情報・ナレッジが豊富
  • 開発者・運用者を確保しやすい

という点から、

  • 「WordPressしか使えない」制作会社
  • 「WordPressのノウハウが圧倒的に多い」制作会社

が多数存在します。

このような制作会社は、「要件整理が不十分でも、とりあえずWordPressで進めてしまう」という傾向が強く「WordPressしかないから、WordPressでやる」という構造になりがちです。

この場合、

  • 「他にどれくらいの選択肢があるか」
  • 「なぜ他を検討しないのか」
  • 「後から、どのような保守コストが出てくるのか」

といった、発注者が知りたい重要なポイントを、説明しないまま流してしまうケースも、実務でよく見受けられます。

なぜ「いろんなCMS・プラットフォーム」が選ばれるのか

前述のような「WordPressの運用コストの高さ・見えにくさ」に対して、他のプラットフォームは、「どこかしらでコストを減らす構造」になっています。

1. microCMSなどのヘッドレスCMS

  • コンテンツ管理とフロントエンド表示を切り離し、API経由でコンテンツを配信
  • プラットフォーム側の保守をmicroCMS側が担う構造で、運用の工数を抑えられる
  • ただし「フロントエンド側の構築・運用のノウハウが必要

「WordPressで運用がつらくなった企業が、運用を軽くしたいケース」などに、向いています。

microCMSについては以前著者が作成した際の体験談を以下にまとめています(こちらのほうが詳細にまとまっているかと思います)。

https://saijo-web.com/column/microcms-renewal

2. STUDIO / Webflow などのノーコードツール

  • ホスティング・セキュリティ・CDNをサービス側が担う
  • ビジュアルエディタでデザイン・更新が可能

そのため、「非エンジニアが更新する」構造にしやすい一方で「サービス停止・移行のリスク」「高度なカスタマイズの限界」についても、現場でよく議論されるポイントです。

3. Shopify をCMS的に使う

若干変わり種ですが、Shopifyの強力なインフラを活用して、ECではないウェブサイトを作るケースも、稀に見られます。

4. md(Markdown)を活用するケース

コンテンツはMarkdownで書かれ、Gitで管理したうえで、静的サイトとして配信される構成があります。

この場合、運用コストが相対的に低くなるメリットがあります。

一方で、GitやCI/CDの理解が必要なため、「非エンジニアが更新する」には課題があり、更新フローを別途整備する必要があります。

良い制作会社かどうかの見極め方

制作会社の信用度判断のポイントは、「保守・運用の話が、どれだけ明確か」です。

1. 説明が丁寧かどうか

  • 月額の保守コスト
  • 運用後のアップデート・対応内容
  • PHPバージョンアップ時の対応
  • バックアップ・セキュリティ対策

といった、「運用のためのコスト」について「丁寧に説明してくれる」「CMS選定の段階で、WordPress以外の選択肢と比較してくれている」という制作会社は、「短期的な構築」だけでなく、「長期運用」まで視野に入れている可能性が高いと判断できます。

2. 説明を省く会社への対応

  • 保守の話を飛ばす
  • アップデートの工数を軽く扱う

という制作会社は、「リスクの高い構造」だと感じます。

この場合、

  • 「なぜWordPressを選ぶのか」
  • 「他にどのような選択肢があるか、見送った理由は何か」
  • 「どのような保守契約を想定しているか」

といった、3〜5問のポイントを踏み込んで確認すると、運用コストの見通しを、少しでも明確にできます。

結論:「WordPress」は、リスクとコストの見通しが前提

2026年現在、「とりあえずWordPress」という選択肢は、現実の構造上よく出てくる提案ではありますが、必ずしも正しい選択とは限りません。

「なぜWordPressなのか」と「運用のコスト・リスクがどれくらいあるか」を制作会社と発注者でしっかり共有できているかが、案件でWordPressを選ぶか、他の選択肢にするかを分けるポイントだと思います。

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執筆者 | 西條輝(Saijo)
EC Director / Web Director / Web Developer
7年(週7年)で制作を続けてきました。8年目に突入。
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