制作会社の再委託は悪か?フリーランスに丸投げさせるケースを見極める3つのポイント
公開日時:2026.02.23
制作会社が受注した案件をフリーランスに再委託している――。
発注者としては「それって大丈夫なの?」「中抜きされているだけでは?」と不安に感じるポイントだと思います。
結論から言うと、「再委託禁止」と明記している契約でなければ、再委託そのものが即NGというわけではありません。
重要なのは「どのような体制で、どれくらいの外注比率で進めているのか」を見極めることです。
再委託が本当に問題になるケース
まず、明確に問題になるのは次のケースです。
- 契約や発注条件で「再委託禁止」「再委任禁止」としているのに、実際にはフリーランスなどに再委託している場合
- 情報管理やセキュリティ要件上、外部委託が認められていないのに、それを守っていない場合
このようなケースでは、契約違反や情報漏洩リスクにつながるため、発注者としても強く是正を求めるべきです。
一方で、「再委託自体は認める」という前提であれば、制作会社がフリーランスと協業して進めること自体は、必ずしも悪いことではありません。
制作会社が入ることのメリット
フリーランスに直接依頼するのと比べて、制作会社が間に入ることで、以下のような「一定の担保」が期待できます。
- 進行管理や品質管理を制作会社が担う
- 複数人が関わる場合のディレクションや調整を代行してくれる
- トラブル時の責任窓口が明確になりやすい
そのため、発注者側のデメリットは「再委託しているかどうか」そのものよりも、「どういうパートナー体制で進めているのか」によって決まると言えます。
発注時にチェックしたい3つのポイント
再委託の有無だけで判断するのではなく、次の3点を確認することをおすすめします。
1. アサインされるフリーランスとの関係性
- そのフリーランスとは継続的な取引実績があるのか
- 過去どのようなプロジェクトを一緒にやってきたのか
- 今回が「初めての付き合い」なのかどうか
継続的に一緒に仕事をしている関係であれば、制作会社としても品質やコミュニケーションの傾向を把握しているため、プロジェクトリスクは比較的下がります。
2. フリーランス本人の経験値
- 対象領域(Web制作、EC、システム開発など)の経験年数
- 規模・同種の案件の実績有無
- 直接コミュニケーションを取れるのか、完全に制作会社経由なのか
経験値が高く、かつ制作会社との連携実績があれば、「制作会社+フリーランス」の体制は、むしろコストと品質のバランスが良い選択肢になり得ます。
3. 見積もり構造とスケジュールの妥当性
制作会社がフリーランスに再委託する場合、多くはフリーランスへの支払額に対して一定のマージン(パーセンテージ)が上乗せされた見積もりになります。
このときに注意したいのは、見積もりの工数や金額が、想定される作業量に対して極端に安すぎないかということです。
極端に安いケースでは、実務経験の浅いフリーランスに格安で丸投げしている可能性もあり、品質や対応力の面でリスクが高まります。
とはいえ、制作会社が間に入ることで、コストやスケジュールが多少「重く」なるのは、ある意味では自然なことです。
その代わりに、進行管理や品質管理、体制面のサポートがどの程度整っているかをきちんと見極め、プロジェクトへの価値があるかどうかを判断していくことが重要です。
「フラットな見積もり」で頼みたい場合
もし「仲介マージンが極力載っていない、フラットな見積もり」で依頼したいのであれば、次のような選び方が現実的です。
- ワンストップで対応している制作会社やフリーランスに直接依頼する
- 得意領域がはっきりしている制作チームに依頼する
- 下請け構造が少ない(またはない)体制で動いているパートナーを選ぶ
フリーランスか法人かは本質ではなく、「どこまで自社(自分たちのチーム)で完結しているか」「どこから外注なのか」が重要なポイントです。
営業担当者に制作経験があるかも重要
もう1つ見ておきたいのが、「営業担当が制作経験者かどうか」です。
分業自体を否定するつもりはありませんが、制作経験のない営業がフロントに立っている場合、以下のようなリスクが発生しがちです。
- 要件の整理が不十分なまま見積もり・進行してしまう
- 後から追加要件が頻発し、追加見積もりがかさむ
- 実現難易度や工数感の理解が甘く、無理な提案・スケジュールになる
一方で、制作経験のある営業・ディレクターがつく場合は、要件ヒアリングの精度が高く、初期の段階で「やること・やらないこと」が整理されやすくなります。
過度な値引き交渉が招くもの
価格交渉そのものは悪いことではありませんが、「本来その制作会社の価格帯に見合わないレベルまで値引きさせる」ことには注意が必要です。
- 営業数字のために、採算が取れないレベルの格安で受注してしまう
- 結果として、十分なリソースを割けず、サポート品質が下がる
- 表面的には「安く受けてくれた」が、裏ではどこかの工程や工数が削られている
制作会社ごとに「得意とする価格帯・案件規模」があります。そのレンジから大きく外れた値引きは、結果的に発注者側の不利益につながるケースも少なくありません。
発注者が押さえておきたい視点の整理
最後に、発注者側が制作会社の「外注比率」や再委託の有無を見る際の視点を整理します。
- 再委託禁止としているなら、そのルールが守られているか
- 再委託自体を認める場合でも、「誰がどの役割を担っているか」が説明されているか
- アサインされるフリーランスとの関係性・実績・経験値はどうか
- 見積もりとスケジュールが、体制に対して妥当か
- 営業・ディレクション担当が、制作経験や現場感を持っているか
- その会社の「適正な価格帯」から外れすぎた無理な値引きになっていないか
このあたりを事前に確認できれば、「再委託しているからダメ」といった表層的な判断ではなく、プロジェクト成功確度を高める観点でパートナーを選びやすくなるはずです。
※本稿は一般的な制作現場の実務観点を踏まえたものであり、法的効力を持つものではありません。再委託可否や契約内容については、契約書の内容と専門の法律家にご相談のうえでご判断ください。